研究主題

確かな学力をはぐくむ学習指導法の研究

~個に応じた指導を取り入れた授業展開を通して~

2 研究主題についての説明
(1)「確かな学力」について
新学習指導要領のねらいは[生きる力]をはぐくむことにあることは周知のとおりである。
その[生きる力]について,平成8年度の中央教育審議会答申「21世紀を展望した我が国の教育の在り方について」では,次の三点を重要な要素として挙げている。
○いかに社会が変化しようと,自分で課題を見つけ,自ら学び,自ら考え,主体的に判断し,行動し,よりよく問題を解決しようとする能力
○自らを律しつつ,他人とともに協調し,他人を思いやる心や感動する心など,豊かな人間性
○たくましく生きるための健康や体力
以上の三点を受けて,平成15年10月7日に出された中央教育審議会答申では,[生きる力]を知的側面からとらえた学力を[確かな学力]と呼び,さらに[確かな学力]とは,                          
知識や技能はもちろんのこと,これに加えて,学ぶ意欲や,自分で課題を見付け,自ら学び,主体的に判断し,行動し,よりよく問題を解決する資質や能力まで含めたもの
であると具体的に定義している。
したがって,[確かな学力]には,従来から教師が主となって指導してきた知識や技能は当然含まれているが,教えること以上に,生徒自身が主体的に取り組むことによって自ら育てる資質や能力も含まれていることになる。
このように,[確かな学力]には“教える”学力と“育てる”学力が含まれているので,[確かな学力]をはぐくむためには,この両者のバランスをとり,生徒一人ひとりの個性・特性に対応した学習活動・指導が必要であると考える。


(2)「個に応じた指導」について
平成15年10月7日に出された中央教育審議会答申では,学校現場に対して「個に応じた指導などの工夫をした『わかる授業』を一層推進する」ことを求めている。
この「個に応じた指導」は一般的に二つの側面から捉えられることが多い。その一つは「個人差に応じた指導・学習のあり方を〈学習プログラム〉上処遇する。つまり,〈指導形態〉あるいは〈学習プログラム〉を考えるという側面」であり,もう一つは「個人差にその場その場で〈個人指導〉を行うことで対応する。つまり,指導の過程で一人ひとりに対応する〈きめ細かな個人指導〉を行うという側面(入り込みを含む)」である。
実際の指導場面では,これらの二つの側面を切り離して考えるわけにはいかないが,本研究においては「〈指導形態〉あるいは〈学習プログラム〉を考えるという側面」を中心とすることを「個に応じた指導」と捉える。
次に,本研究における「個に応じた指導」では「個の“何”に対し,どのような方法で応じる」ことを目指すのかを述べる。
「個の“何”に応じる」かについては,「伝統的な一斉(画一)授業から導かれる様々な個人差に応じる」ことと考える。伝統的な一斉(画一)授業では,それぞれの生徒において状況が刻々と変化していく,「学習課題をめぐる個人差」,「学習時間という個人差」,「学習適性・スタイルという個人差」に対して適応しきれていないとされてきた。そこで本研究においては,各教科の授業展開の中に次のような「学習プログラム(少人数指導,習熟度別指導を含む)」を取り入れる。


① 完全習得学習 ~ 一斉指導を補足する個別指導
② 到達度別学習 ~ 「学力」差に応じたグループ別指導
③ 自由進度学習 ~ 単元ごとに自分のペースで学習する
④ 無学年制学習 ~ どこまでも自分のペースで学習する
⑤ 適性処遇学習 ~ その子の「持ち味」を生かした学習
⑥ 順序選択学習 ~ 自分の決めた順序にしたがって学習する
⑦ 発展課題学習 ~ 共通課題の後に発展課題を学習する
⑧ 課題選択学習 ~ 一つの課題を集中的に学習する


以上のような学習プログラムを授業展開の中に取り入れることで,生徒それぞれの学習に対する個人差に適応することを目指す。
また,どの学習プログラムをどのようなタイミングで授業の中に取り入れるのかを計画する際には,それまでの学習に対する評価を基に,教科や単元の特性及び生徒の実態に応じることができるようにする。さらに生徒が,どのような課題やコースを選択するのかを決定する際には,単元の導入における診断テストの結果や,学習途中での生徒の自己評価を基に,できる限り生徒自身の意思で選択させるようにする。

3 研究の概要
(1) 研究の目的

各教科の授業展開の中に,評価に基づいた個別指導の学習プログラムを,どのように取り入れることが,確かな学力をはぐくむために有効であるのかを究明する。


(2)研究の仮説

各教科の授業展開の中に,多様な評価に基づいた適切な個別指導の学習プログラムを取り入れるならば,生徒の様々な個人差に応じることができるので,知識や技能はもちろんのこと,自分で課題を見付け,主体的に判断し,自主的に行動し,よりよく問題を解決しようとする,確かな学力をはぐくむことができるであろう。


(3)研究の内容
①教科や単元の特性及び生徒の実態に適応する個別指導の学習プログラムの選択について。
②各教科の授業展開における,個別指導の学習プログラムの適切な運用について。

(4)検証の方法
①,実態調査
 ・教科(国語,数学,社会,理科,英語)における学力調査
 ・各教科の授業に対する意識調査
②,授業における分析
 ・作品,レポート,ワークシート等の内容分析
 ・授業中の様相観察,授業に対する感想の分析